グローバルなコンプライアンス
遵守体制の構築の重要性

今般、企業内部の不祥事が内部者による告発によって明るみに出る事例が多発しています。
不祥事の程度によっては、監督省庁から行政処分、株主・消費者からの経営責任を追及する訴訟などの法的リスクの発生はもちろん、なにより企業として健全性に対する信頼が損なわれる「レピュテーションリスク」は計り知れないものがあります。

近年、経営のグローバル化が進み、コンプライアンスの徹底は、日本国内だけではなく、世界全体で必須となってきています。
特に、日本の不正競争防止法、アメリカのForeign Corrupt Practices Act (FCPA)やイギリスのBribery Actなど域外適用がなされるコンプライアンス法規が一般化し、日本・アジア地域でのコンプライアンス違反の影響は当該地域に限定されず、全世界のビジネスに多大な影響を与えることが当たり前になっています。

こうしたなか、日本企業は、日本国内の法令、省庁ガイドライン・通達、民間の自主ガイドライン、企業倫理などだけではなく、海外子会社のコンプライアンス規定も遵守する必要があります。このため、海外子会社が各海外の法域の法令の順守体制を構築する必要があります。
もっとも、企業自らが、子会社全ての法域に自らコンプライアンス・オフィサーの設置、内部通報窓口制度などのコンプライアンス体制を構築するのは容易ではありません。
また、海外子会社の場合、海外子会社のトップ自らが隠蔽工作を行うなど、海外子会社が組織ぐるみでコンプライアンス違反を行っていた場合の対処は非常に困難です。

One Asia Lawyers
内部通報制度(GWS)

One Asia Lawyersグループにおいては、日本国内だけではなく、グローバルに自らのオフィス・提携事務所を有している強みを生かし、日本国内だけではなく、グローバルでのコンプライアンス規定の整備、内部通報制度窓口の設置の法的支援(Global Whistle-Blowing System,GWS)を行っております。

グローバル一括のコンプライアンス規定の整備・内部通報制度の設置(GWS)は、日本・アジア等の各国の弁護士によるレビュー・監修を受けており、日本・アジア等の各国において実際に不正事案等が発生した場合においても、各国の弁護士が迅速に対応することができる体制を整えております。

1 コンプライアンス制度の構築サポートの内容

コンプライアンス制度を構築するにあたっては、①単にコンプライアンス規定を策定するだけではなく、②当該コンプライアンス規定の存在が周知徹底されて適切に運用されていること、そして③当該コンプライアンス規定が適切に運用されているか、改善点があれば提案するという監査が適格に行われており、当該監査の結果を受けて、コンプライアンス規定の見直し、運用の見直しがなされるというサイクルが構築されていることが重要です。
すなわち、①規定の整備、②運用・実施、③監査という一連の流れが行われているということが最も重要です。

監査を踏まえた規定・運用の見直し

1規定内容の整備

  • 内部通報規則
  • 贈収賄規制
  • 競争法規制
  • 個人情報保護法
  • 労働法(セクハラ・パワハラ)
  • 消費者保護法
  • ガイドライン
  • 業界倫理規定

2運用・実施

  • 内部通報制度導入の通知・連絡
  • 規定策定の説明会の実施
  • 各国におけるセミナー・ウェビナーの実施

3監査の遂行

  • 監査マニュアルの策定
  • 各規定についてのアンケートの実施
  • 監査チームによる調査・インタビューの実施
  • 抜き打ち調査の実施

GWSにおいては、各国の贈収賄法規、競争法・独占禁止法、個人情報保護法、セクハラ・パワハラなどを含む労働法規、消費者保護法などの法令だけではなく、監督官庁のガイドライン、業界の倫理規定など多言語対応を踏まえた規定の作成の支援を行っております。
この規定の作成段階においては、日本国内だけではなく、アジア等各国における弁護士が監修を行い、全世界における法令を踏まえた規定の作成の支援が可能です。
また、包括的な規定の作成だけではなく、子会社のある法域の贈収賄規定のみなどの特定の依頼に応じたサービスも提供可能です。

次に、運用・実施段階においては、策定した規定を周知徹底するための導入のセミナーの実施、質問への対応を行っております。
この運用・実施段階においては、日本だけではなく、各国子会社において現地でのセミナーの実施が可能であり、また日本語・英語だけではなくローカル言語における多言語でのセミナーも可能となっております。

監査の段階においては、監査マニュアルの策定、アンケート・抜き打ち監査の実施の支援も行っております。
この監査段階においても、日本国内だけではなく、全世界において、多言語に対応した監査支援が可能です。

2 グローバル内部通報窓口の設置支援の内容

上記のようなコンプライアンス体制を構築すると同時に、企業は万が一の違反に備えて、そのような違反の発生を発見する仕組みを構築する必要があります。
企業内の不正は、外部に隠蔽されてしまうと発見は困難であり、その発覚のほとんどの事例が、内部通報であるというが現状です。
したがって、不正の発見のための最も有効な手段が、いわいる内部通報制度の設置です。

その存在の趣旨は、個別の不正問題の発見機能のみにとどまらず、企業内部の問題が突如、警察・マスコミ・株主などの外部に告発されるというリスクを軽減する機能、企業のコンプライアンス順守の姿勢を外部に公表し、企業イメージ・レピュテーションを高めるという機能など様々です。

3 外部機関に対する内部通報制度の重要性

内部通報制度の構築にあたっては、通報を受け付ける窓口及び調査を行う機関が、社内の経営陣直轄の部署であるような場合、従業員などが通報を行う際に躊躇する可能性があり、経営側自身の不正に対して十分なチェック機能を発揮できるとは評価されづらく、自浄作用としての適切な内部通報制度が構築されているとは言えないでしょう。
通報者の確実な保護を図り、内部通報を行いやすい環境を整えることが、コンプライアンス経営の根幹であるならば、守秘義務などに基づく徹底的な情報管理を前提としつつ、通報の受付窓口は企業の内外に複数設けるべきであるといえます。

特に、海外子会社における不正においては、海外子会社の経営層自身が不正に関与していることも少なくありません。
また、日本から派遣されている海外子会社のトップの日本人自らが組織ぐるみで不正行為を行っていることも少なくなく、海外子会社には必ずしも、法務・コンプライアンスの経験がある者ばかりではなく、そもそもコンプライアンスに対する意識が欠如していることも珍しくありません。
他方、数多く存在する海外子会社に対して、日本本社の法務・コンプライアンス部門が、わざわざ日本から監査を行うことにも限界があります。

4 Global Whistle-Blowing System(GWS)の特徴

One Asia Lawyers(GWS)においては、日本だけではなく、グローバルにオフィス・提携事務所を有している強みを生かし、日本だけではなく、アジア各国において、多言語での外部機関における内部通報窓口として対応することが可能です。
対応は、電話、ファクス、メールなどの各種の通信手段における対応が可能であり、連絡を受けて日本・アジアにおいて迅速に面談を行うことも可能です。
また、日本語・英語のみだけではなく、各国におけるローカル言語にも対応しており、グローバルな内部通報窓口としては実効性の高い体制の構築が可能です。